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桐野夏生『OUT』ネタバレあらすじ結末【小説とドラマの違いも】

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こんにちは、よぴ子です。

OUTのあらすじを知りたい人
OUTのあらすじを知りたい人

小説「OUT」のあらすじ知りたい!昔読んですごく面白かった記憶があるけど内容が思い出せなくてモヤモヤする!読み返すの大変だからあらすじを結末まで知りたい!

という方、いますか?

この記事の内容は、

・桐野夏生「OUT」のネタバレあらすじ結末がわかる!

・桐野夏生「OUT」の小説とドラマの違いがわかる!

です。

エンタメオタクが記します。

参考になれば幸いですー

ちなみに、文庫本帯の公式あらすじ(↓)

深夜の弁当工場で働く主婦たちは、それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へと導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点!

「OUT」文庫本上巻

主婦ら四人の結束は、友情からだけではなく、負の力によるものだった。その結びつきは容易に解け、バランスを欠いていく。しかし動き出した歯車は止まることなく、ついに第二の死体解体を請け負うはめになる。彼女たちはこの現実にどう折り合いをつけるのか。大きな話題を呼んだクライム・ノベルの金字塔。

「OUT」文庫本下巻

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桐野夏生『OUT』ネタバレあらすじ結末

主な登場人物

まずはざっくり、主な登場人物と設定です。

主人公は、深夜の弁当工場で働く女たちです。

深夜0時から朝5時半まで、休みなく延々と弁当を作り続けています。

★香取雅子(43歳)

・弁当工場で働く前は、信用金庫に勤めていた
・知的で冷静、工場の仲間たちから一目置かれている
・夫は建設会社に勤めているが、出世コースからは外れている
・息子は大学を中退し、部屋に引きこもっていて、親とは口をきかない
・家庭は殺伐としている

★吾妻ヨシエ(50半ば)

・寡婦。いかにも肉体労働に向いてそうな、がっちりした蟹のような体格をしている
・工場仲間から揶揄を込めて「師匠」と呼ばれている
・古い木造アパートで姑の介護をしている
・金がない
・娘が2人いるが、長女は男と駆け落ちして消息不明

★城之内邦子(自称29歳/本当は33歳)

・団地で夫と暮らしている
・派手好き。借金を抱えている。口が軽い
・デブでブス。容姿が悪いため水商売で雇ってもらえず、仕方なく弁当工場で働いている
・愛車は緑色のゴルフカブリオレ

★山本弥生(34歳)

・美人
・夫と、小さな息子が2人いる

弥生が夫を殺してしまう

ある日、雅子のところに弥生から電話がかかってきます。

弥生が夫を殺してしまったのです。

弥生の夫は、貯金500万円をバカラ賭博と中国人クラブのホステスに使い込んでいました。

給料も3か月家に入れていません。

弥生が意見を言うと殴ります。

その日も、夫は弥生を無視して中国人クラブに出かけようとしていました。

弥生は衝動的に夫をベルトで絞め殺してしまいました。

雅子は「あんたはどうしたいの?」と弥生に訊ねます。

弥生は「あたしはこのままでいたいの。だって、子供も小さいし」と答えます。

雅子は、自分でも理由がわからないまま、弥生を助ける決意をします。

雅子、ヨシエに協力を依頼する

雅子は、弥生の夫の死体をバラバラにして捨てることを決めます。

一人では無理なので、ヨシエに手伝ってくれるよう頼みます。

ヨシエは「あたしは駄目。できないよ、そんなこと。絶対」と断ります

雅子は「じゃ、金返してよ」とヨシエを脅します。

ヨシエに、娘の修学旅行代8万3千円を貸していたのです。

金を返せないヨシエは協力するしかありません。

死体をバラバラにする

雅子の家の風呂場で、弥生の夫の死体の解体作業が行われます。

雅子とヨシエで、死体をレジャーシートの上に置きます。

服をハサミで切ります。

雅子の家の刺身包丁とノコギリで死体を解体していきます。

と、作業の途中で、邦子が訪ねて来ます。

金を貸して欲しいと雅子に借金の相談に来たのです。

死体の処理をしていることが邦子にバレてしまいます。

雅子は仕方なく、お金を渡して邦子に死体の処理を手伝わせることにします。

死体の入ったビニール袋が、全部で43個できあがります。

ゴミ集積所に少しずつ捨てることにします。

ヨシエは自転車だから5個。

邦子は車だから15個。

雅子が頭部と残りを引き受けます。

バラバラ死体が発見される

K公園でバラバラ死体が発見されたというニュースが流れます。

公園のゴミ箱に15個のビニール袋が捨てられていたのを、公園の清掃員が見つけました。

邦子が面倒臭がってまとめて捨てたものでした。

死体の身元が、弥生の夫だと特定されます。

弥生の元に警察が来ます。

雅子やヨシエや邦子の家、弁当工場にも警察が来ます。

4人の女たちは逮捕に怯えます。

が、重要参考人で逮捕されたのは別の人物だった

しかし、重要参考人で逮捕されたのは4人の女たちではなく、佐竹という男でした。

★佐竹光義(43歳)

・バカラ賭博と中国人クラブの経営者
・高校生のとき父親を殴り倒して家を飛び出した
・ヤクザの組に拾われ、売春婦の逃亡を防ぐ仕事を手伝っていた
・26歳の時、売春婦を別の組織に紹介していた口入屋の女を、リンチでなぶり殺した
・裸にして殴って殴って強姦し、気絶した女の目を覚まさせるようにナイフで何か所も刺し、血だらけの女をまた強姦した
・7年刑務所に入っていた

という経歴の男です。

佐竹は、弥生の夫を殴ったことがありました。

弥生の夫が、佐竹の店のホステスにしつこく付き纏っていたからです。

そのせいで警察に疑われたのでした。

雅子たちは、ニュースを見て安堵します。

弥生に夫の保険金5千万円がおります。

謝礼として、雅子が200万円、ヨシエと邦子が50万円ずつ受け取ります。

事件は終わったかに思えます。

死体処理ビジネス

雅子の前に、十文字という男が現れます。

★十文字彬

・邦子が借金している消費者金融の社長
・昔、雅子が勤めていた信用金庫で取立屋まがいのことをしていた
・その時から雅子の存在を気にかけていた

という男です。

雅子は、十文字から死体処理ビジネスを持ちかけられます。

邦子が、借金をチャラにしてもらう条件で、十文字に秘密を全部話してしまったのです。

雅子は、十文字をきっかけに、信用金庫時代のことを思い出します。

・女はいくら仕事ができても出世できない
・同期や後輩の男性がどんどん上司になっていく
・同じ仕事をしているのに給料も違う
・おかしいと雅子が上司に直談判したら、男性社員たちからの嫌がらせが始まった
・支店への単身赴任を命じられた
・家庭があるため単身赴任することはできす信用金庫を辞めた

という内容です。

雅子の中で、社会に復讐したい気持ちや生きていることへの虚しさが芽生えます。

雅子は、十文字の死体処理ビジネスを一体400万円で引き受けます。

ヨシエにも100万円で手伝わせることにします。

第2の死体解体

雅子とヨシエは、十文字が運んできた死体を風呂場で解体します。

解体した死体は、十文字の故郷の田舎のゴミ焼却炉で焼くことになっています。

バラバラにしたあと細かく箱に詰めて宅配便で送るのです。

雅子は心の隙間を埋めるため、ヨシエは金のため、死体をバラバラに解体していきます。

不審な出来事

雅子、ヨシエ、邦子、弥生、それぞれの身辺で不審なことが起こり始めます。

誰かに身辺を嗅ぎまわられているようです。

第3の死体解体

そんな中、第3の死体解体の依頼がきます。

雅子の家の風呂場に、シートにくるまれた死体が運ばれてきます。

雅子は嫌な予感がします。

嫌な予感は的中、死体は邦子でした。

佐竹の復讐

邦子の死体は、佐竹の復讐でした。

佐竹は、弥生の夫のバラバラ事件で逮捕されましたが、証拠が見つからず釈放されていました。

が、容疑者となったことで、過去の殺人を知られ、経営していたバカラ賭博場も中国人クラブも失いました。

佐竹はバラバラ事件の犯人が、弥生だと直感していました。

佐竹は巧妙に邦子に近付き、バラバラ事件の全てを聞き出しました。

そして邦子を殺害し、死体を雅子に送り付けました。

その後、弥生にも近付き、夫の保険金5千万円を強奪します。

ヨシエの家にも放火もします。

佐竹の残るターゲットが、雅子だけになります。

佐竹は雅子への復讐に燃えています。

雅子が、昔残虐に殺した女にそっくりだからです。

佐竹は残虐した女を愛していました。

雅子vs佐竹

雅子は佐竹の復讐に怯えます。

怯えながらも、「自分は佐竹を殺して逃げる。邦子みたいに佐竹から殺されるのはまっぴらだ」と思います。

雅子は、弁当工場の駐車場で油断したところを佐竹に襲われます。

廃工場に連れ込まれます。

下着をむしり取られ、冷たいステンレス台の上に縛り付けられます。

無理やり犯されます。

殴られて、何度も犯されます。

雅子は性行為に没頭するふりをして、佐竹の気を緩ませます。

雅子は、トイレに行きたいと訴え、ダウンジャケットを羽織り、用を足して佐竹のところに戻ります。

雅子はダウンジャケットのポケットに入れていた手術用のメスで、佐竹の顔を切り付けます。

佐竹の顔から鮮血が溢れ出ます。

雅子は、血だらけで死にそうになった佐竹を抱きしめます。

雅子は、自分が佐竹と同類だと感じます。

エピローグ

佐竹は死にました。

雅子が殺したのです。

雅子は深爪に近いほど短く切られた自身の指の爪を眺めます。

弁当工場の仕事のために、二年間一度も長く伸ばしたことはない。青白い手は、過剰な殺菌消毒ですっかり荒れている。信金で二十年間働いてきたこと。子供を産み、家事をして、家族と暮らしてきたこと。体に染みついたこれらの痕跡は、紛れもなく雅子自身にほかならない。

「OUT」本文より

雅子はこれから航空券を買うつもりです。

死体解体で得たお金で、海外に飛ぶつもりです。

背中でドアが閉まったのなら、新しいドアを見つけて開けるしかないのです。

桐野夏生『OUT』小説とドラマの違い

ドラマは、1999年フジテレビで放送されました。

配役は、

・雅子⇒田中美佐子さん
・ヨシエ⇒渡辺えり子さん
・邦子⇒高田聖子さん
・弥生⇒原沙知絵さん
・十文字⇒哀川翔さん
・佐竹⇒柄本明さん

です。

小説と異なる点は、大きく3つです。

・1、刑事が主役級で登場
・2、雅子の夫も殺される
・3、テーマやカタルシスがわかりやすい

です。

ちょっとずつ解説します。

1、刑事が主役級

小説では刑事は目立ちません。

が、ドラマでは主役級です。

飯島直子さんが演じています。

・元少年科で、雅子の息子を補導したことがある
・息子の補導がきっかけで雅子と友人になった

という設定です。

バラバラ事件について、雅子を疑い、追いつめていきます。

さらに、この刑事自身も、警察という男社会において、女であることを理由に不当な扱いを受けています。

・雅子を追いつめる
・作品のテーマ(女性たちの生き方、自立)への深み

の役割を果たしててすごいです。

2、雅子の夫も殺される

小説だと、雅子の夫は存在感が薄いです。

ドラマ版では、雅子の夫は妻が死体をバラバラにしていることに気付きます。

さらに、佐竹によって殺されてしまいます。

小説も凶暴ですが、ドラマはもっとえぐいです。

2021年の現在ではたぶん、コンプライアンス的にアウトではないでしょうか。

だからこそめちゃめちゃ面白いです。

3、テーマやカタルシスがわかりやすい

小説では、雅子は最後に佐竹を愛します。

自分で殺そうとしながら、佐竹に生きていて欲しいと願います。

伝わる人には伝わるけど、正直わかりづらいです。

ドラマでは、抽象的な表現は排除してあります。

気持ちや関係性が、もっと具体的に描かれています。

登場人物たちの未来も、悲惨ではあるけど、希望が見えるように描かれています。


20年前の作品ですが、いま見ても、本当によくできたドラマです。

が、配信はされてないようです。(以前FODでされてましたが現在は消えてるみたいです)

ソフトはVHSしか販売されていません。

今回のまとめ

以上、「OUT」のネタバレあらすじ&小説とドラマの違いをまとめました。

「OUT」、小説もドラマもまじで名作です。

るんるん
るんるん

「OUT」、最高♪

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